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鳥海浩輔さん×羽多野渉さん×沼倉愛美さん
TVアニメ『アルスラーン戦記』2クール目メインキャスト座談会



――まず簡単に、ご自分の役どころと、役の印象をお聞かせください。

沼倉 私の演じるアルフリードは、ゾット族の族長の娘です。ヒルメスにお父さんを殺されて、自分も危険な目に遭いそうだったところをナルサスに助けてもらうのですが、そのときに恋をしたらしく、ナルサスの押しかけ女房的にアルスラーンの一行に参加します。
 私、実は以前から原作小説のファンで。アルフリードは、小説ではもう少し女性らしいキャラのイメージがあったんです。でもアニメ版のビジュアルでは勝ち気な面がすごく前に出ていて、エラムとの絡みも多いので、歳相応な、十代の女の子だな〜というイメージが、演じていくうちに強くなりました。
 あとは、アルスラーンのまわりにいるみなさんは大人で、しかも都会育ちといいますか、ちょっとおしゃれな雰囲気があるんですけど、アルフリードは山賊みたいな人たちの、しかも男社会で育っているので、雰囲気に「大地の薫り」があるんですね(笑)。そういうところを、上手く表現できたらいいなと思いながら演じています。

――原作小説を手にとったきっかけはなんだったんですか?

沼倉 中学生のときに『創竜伝』を読んだのがきっかけで、田中芳樹先生の他の作品も読むようになって、その流れで『アルスラーン戦記』も手に取りました。

――おお、つまり『アルスラーン戦記』だけでなく、バリバリの田中芳樹先生ファン。

沼倉 そうなんです(照笑)。実は今回のお話が来る前から、インタビューでよく、「田中先生の作品が好き」と言っていたので、発表される前はちょっと気恥ずかしかったです。

――羽多野さん、鳥海さんは役のご印象はいかがですか?

羽多野 ジャスワントはシンドゥラの兵士で、お父さん代わりに育ててくれた宰相マヘンドラの腹心のような存在です。実は最初は、スパイとして活動しております。具体的にどんな目的を持ち、どう活動しているかは、ぜひアニメで確認していただければと思います。
 性格的には、非常に忠誠心が強くて、信じた人のためなら、自分の命を使うこともいとわない、命をかけて任務をまっとうできる。そんな強い意志を持った男です。

鳥海 僕の演じるラジェンドラは、シンドゥラ国の第二王子です。ということで、初登場のときはパルスに攻めてくるわけですが……まあ、そこは見事に撃退されるわけです(笑)。それで、なりゆきでアルスラーンたちに協力してもらいながら、政敵であるお兄さんのガーデーヴィーと争うことになります。
 キャラクターとしては、王子様ではあるんですけれども、身分が高いわりにはざっくばらんな、気のいい男ですね。非常に人間味がある。いろんな面を見せてくれる人だと思います。

――アフレコの雰囲気はいかがでしょう?

沼倉 みなさんとても優しくて、楽しい現場なんですけど、自分が今までファンとして追いかけてきた作品のアニメに参加するというので、勝手に自分で高いハードルを設けてしまって(笑)。だからアフレコは、まず自分との戦いが大変でした。それを乗り越えて、アニメの『アルスラーン戦記』で描かれようとしているものを、きちんと表現できたらいいなと思いながら参加しています。でも本当に、すっ〜〜〜〜〜ごく、楽しいです!

羽多野 演出さんと相談しながら役を作っていて、自分が想像していたよりももっと淡々としたしゃべり方の、少し大人びた青年として演じているんですが……沼倉さんが原作をこよなく愛する方だということを、今日初めて知ったので、これはぜひ、この場を借りてご意見をうかがいたいです。どうでしょう? スタジオでご一緒させてもらっていて、大丈夫でしょうか? 僕は役にちゃんとハマってますか?(笑)

沼倉 えええ〜!(笑)

羽多野 世にでる前に聞いておかないと、ドキドキしちゃって。

沼倉 いやいやいや、もう、そんな……どうしよう(笑)。本当に私、ラジェンドラとジャスワントって、この作品の中でも重要なキャラクターで、素敵なキャラクターだと思っているんですけど、羽多野さんが声をあてたとき、「ジャスワント、キター!」って思ったんですね。

羽多野 ホントですか!?

鳥海 おお〜。

沼倉 「気持ち悪いな、自分」なんてことを思いつつ、アフレコを見ながら、密かにそんなことを考えてて(笑)。しかもその、私なんかが言える立場じゃありませんけど、スッと自然にほかのキャストさんたちの中にも溶けこんでいて、「さすがだな〜」と思っていました。

羽多野 いや〜……嬉しいですが、言わせた感がすごくて、すみません!(笑)

沼倉 違いますって! 本当ですって!

羽多野 ありがとうございます(笑)。ちょっと安心しました。作品に途中から参加する人間は、それまでほかのキャストさんたちが作ってきた世界に、しっかりと地に足のついたお芝居ができるかどうか、ドキドキなんですよね。誰しもがそういうプレッシャーと戦いながらアフレコに参加すると思うんですけど、この作品では、メインキャストのみなさんが、そういう緊張感を見事にほぐしてくださる。
 それでいうと、アルスラーン役の小林(裕介)くんは、この作品で初めてご一緒したんですけど、なんと専門学校の後輩で。「羽多野先輩!」なんて挨拶もしてくれたので、これはいよいよもって、恥ずかしい芝居をしたらいかんぞ! という気持ちにもなりました(笑)。そんなこともあり、緊張感もありつつ、楽しくやらせてもらっております。こういう形で、後輩と出会えるというのは、幸せなめぐり合わせだなと思いますね。

鳥海 おふたりが言うように、1クールのアフレコを通じて現場にできあがった空気の中に、ポンと入っていくのって、意外と大変なんですよね。でも、その点でいうと、この作品のメインキャストには、割りとよく知っているというか、アフレコで顔を合わせることの多い方がたくさんいるということもあって、スッと現場自体に入っていくことはできましたね。
 しかし、ラジェンドラに声が合ってるかどうかというのは私も気になるところで……(沼倉さんに目線を向ける)。

羽多野 すごいパスが飛んだ!(笑)

沼倉 だから原作ファンだってことはずっと隠してきたのに〜。

鳥海 ははは。まあ、事務所の先輩・後輩というのは考えないで、いち原作ファンとしての意見を聞かせてくださいよ。何を言われても、受け止められる度量は持っているつもりだから(笑)。

沼倉 ……これ、もう、何を答えるのが正解なのかわからない(笑)。

――ぜひ率直なお気持ちを。ファン代表として。

沼倉 いやもう、香盤表(※アフレコ台本の、キャスト名が書かれたページ)を見た瞬間に、間違いないと思ってました。

鳥海 ……「見た瞬間」はね(笑)。思い出したけど、最初の収録の前に、「ラジェンドラがいちばん好きなキャラなんです」って言ってたよね?

沼倉 はい、そうなんです!

――作品に登場するキャラの中でも、独特な雰囲気がありますよね。

沼倉 いちばん底が知れない人なのかな? とすら思わせる人ですよね。狙っているのか、何も考えていないのか、どっちなんだろう? って思わせる。

鳥海 運がいいだけかもしれない。

沼倉 読んでも読んでもわからない。それがラジェンドラなので、すごく鳥海さんの雰囲気に合っていると思います。

鳥海 ありがとうございます。

羽多野 しかしスゴいですよね。沼倉さんのように、好きな作品に、しっかりと役で参加されるというのは。確率的に、スゴいことじゃないですか。

沼倉 実はこの仕事に就いてから初めて、マネージャーに「この作品のオーディションが受けたいです」って自分から言いました。
羽多野 そうなんですね。しかもしっかり結果を出していらっしゃる。すばらしい。

――では最後に、みなさんの考える『アルスラーン戦記』2クール目のみどころをお聞かせください。

沼倉 アルスラーン一行がどんどん賑やかになって、チームワークも高まる中、また新しい試練がアルスラーンに訪れます。それをどう乗り越えるのかは、この作品の大事な通過点だと思いますので、彼らの旅の続きを、ぜひとも見届けていただきたいなと思っています。

羽多野 自分の役の話になってしまいますが、非常に有能だとはいえ、シンドゥラ国のいち兵士であるジャスワントが、アルスラーン一行とどうかかわっていくか。そこがひとつの見どころかなと思います。そのかかわりが、ジャスワントにとっても、アルスラーンにとっても、ひとつの大きな転機になっていくので、そんなところをぜひ楽しみに見ていただけたらと思います。

鳥海 今まではおそらく、アルスラーンたちというのは、自分たちのために戦ってきたと思うんですけども、今回、結果的に自分たちのためにはなるんでしょうけど、ある意味で人助けというか、助っ人みたいな感じで、よその国の争いにちょっと顔をつっこむ感じになるんですね。そういった中で、彼らがどういった活躍をしていくのか。そして、シンドゥラの政治闘争がどんな動きを見せるのか。そんなところが、みどころではないかと。
 ……というと、ちょっと重苦しい感じがするかもしれませんが、割りと楽しいシーンが多いんじゃないかなぁ、と思います。自分の役が出ていたシーンだと、楽しい印象も多いので。

――ラジェンドラはそれこそ、14話からしばらくは、裏主役みたいな感じですよね。

鳥海 しゃべり倒しましたね、たしかに。でも本人が活躍するというより、だれかを活躍「させる」というか、「させてもらっている」というか(笑)。スーパーマン揃いのアルスラーン一行に対して、凡人なのか、天才なのかよくわからない、ラジェンドラの不思議な魅力みたいなものも、見えてくるかと思います。僕自身も、オンエアでできあがったものを見るのを楽しみにしています。みなさんにも期待していただけたら嬉しいです。
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